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このページは愛川町議会議員玉利まさるのホームページです。
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                   編集子 K



2016年1月24日日曜日

2015年12月14日から



●12月14~20 ~人口問題おさらい~

 10ン年ぶりにやることなし。というか、イベントとかフォーラムとか研修など、目的を持って外出すること無しでした。むろん所用で近所に出たり、知人を訪れたりしたけれど。

 ともあれ、1に読書、2に読書の日でした。まあ、来年1月には町が公表する人口減対策(ビジョンとか総合戦略)に危機感があったので、そっち関係の“おさらい”が中心でありました。今回は読書の中から1つ2つ思うこと。



●IS問題 ~日本人にできること~

 思うことといえば、筆頭はISのテロ関係。外務省が良くないのかどうか走らないが、フランス人が被害にあえば大騒ぎ、ロシア機が落ちれば大騒ぎ。そしてアメリカがそれ見たこととかとISの殲滅を決意すればまた騒ぐ。はては何故か日本の首相までそれに同調。

 むろんテロがいい、という意味でない。メディアの報道からはその背景がほとんど何も見えない。かれらをテロに駆り立てるものは何なのか。原因も見えないで、掃討できるのか。

 そもそもぼくは、メディアが彼らのテロを「聖戦」と表現した時から不信に思う。

 あいまいな記憶では、歴史上の最初の聖戦は第一回十字軍の遠征に付されたもので、目的は聖地の奪回でした。そう、メッカにエルサレム国を建てようということで、キリスト教から見れば「聖戦」でした。それに対し、イスラムはどう対抗したか。「ジハード」である。この言葉は、今日、メディアは「聖戦」と訳しているが、その訳はありえない。敵国の言葉を使うわけがない。事実その原義は「努力」に近い。キリストを含め、異教徒から自分を守る「努力です。たとえば信仰を深める努力、アッラーを信じる努力、経典を信じる努力です。またそのための行為をする努力、信仰の告白や礼拝や断食などの行い、ふつうのムスリムによれば、いわゆる「六信五行」の努力が「ジハード」でした。そう、「ジハード」はかつて「聖戦」でなかったし、もともとイスラム教は、異教徒に寛容だった。そして寛容ゆえにインドネシア・モンゴル・中国まで広まったのです。

 一方、「聖戦」の本義です。こちらは、高校生まで世界史を齧った人の知るとおり、十字軍の「聖戦」は変質していきます。たとえば8回目となると、完全に、宗教を離れ、商工業地、貿易港の略奪です。利権戦争です。たんにテロです。つまり「テロ」を「聖戦」と呼んで良いとイスラムに教えたのは イギリスであり、フランスであり、アメリカその他でありました。ちなみに、いま中国は、ウイグルをテロ呼ばわりしているけど、かれらの多くもイスラム系で、かれらが占領軍の中国に抵抗しているだけなのも周知の通り。

 まあ、長くなるので端折るけど、十字軍の末期から今日まで、アラブの世界は、植民化の歴史であり、独立戦争の歴史であり、独立時の国境は他方、欧米諸国のご都合で生まれたのも、これまた周知です。その間、どれだけ、多くのアラブ人が死んだでしょう。難民になったでしょう。イギリスやフランスやドイツやイタリアやロシア……こそテロ国家ではないですか。報道にその視点がありません。

 更に端折ります。欧米、とくにイギリスの都合でイスラエルが樹立され、その年、第一次中東戦争が起きてから今日まで、ほんの2世代間に、中東から北アフリカにかけ数えきれない紛争があったけど、共通項は膨大な民衆が巻き込まれ、死に、あるいは難民となり、そのたびにイスラムは原理主義化し、尖鋭化していくのは人のおもむくところです。たとえばアメリカのブッシュの仕掛けた戦争はどうでしょう。死亡者は難民、移民を含め400万人に上ります。そして、これが彼らを追い詰め、かえって、原理主義のムスリム同胞団の結束を強め、ISの“素”をつくってきました。

 言葉を帰ると、ISに参加する若者の多くは、親やその親や親戚やまして知人が殺されたたり、難民となったりしています。自分は移民となり、差別され、虐められたりしています。テロは100%許せないけれど、こうして追い詰められた若者がそっちへ走る気持ちは理解できます。にかかわらず、その間、十字軍の遠征から今日まで、たぶん直接と間接とで1000万を超える犠牲者を出した。いまでも出している“欧米のテロ”の実態はどれほど報道されているでしょう。反省はどれほど報告されているでしょう。ここ10年ほど「不都合には眼をつぶる」が欧米のメディアです。欧米がはじめにテロ国家です。

 幸い、敗戦に懲りた日本人は反省好きで平和好きです。韓国がベトナム戦争で膨大な売春婦を提供しても、そちらには眼をつぶり、慰安婦に反省するほどです。日本が南京で1万人ほどの虐殺をしたのを、中国が30万人と表現していても、ひたすら反省です。そして今もウイグルでイスラム教徒を抑圧していても報道しないほどです。まして、日本にアラブ人を殺した歴史はありません。なぜ今さら欧米への協力をする必要がありましょう。

 IS問題の本質は利権に巻き込まれた戦争と貧困の連鎖です。一つの解決は、その貧困を絶つことです。豊かさは過激への処方箋です。ぼくたちがするべきは、ISではなく、難民や移民への経済支援でしょう。そして、その正当性を証明するための、欧米の欺瞞を暴くことでしょう。欧米の過激化への加担ではなく、自制を促すことでしょう。ヘンに加担しわざわざ国内にテロを誘発することをぼくは危惧する。イスラムの本質は、それが宗教である以上、もともとは平和を望んでいるのです。刺激さえしないかぎりは。



●あと一つと思ったが、ついIS問題が長過ぎました。で、今度は手短に、代わりを2つ。

 1つは「夫婦別姓合意」の記事。これってなんなの。3紙ほど読んだけど、どの新聞も父ちゃんの姓にしたい方と旧姓を名乗りたい方の意見を並べただけ。しかもどっちも「アイデンティティに関わる」だとか。ほんとにそうなの。ぼくもそうだけど、知人の腰巻きさんとか色魔(しかま)さんとか、「俺はアイデンティティなんて知らないけど、この際、母ちゃんの名前にしたいよ」だって。また別姓だったら子供のアイデンティティとかどうなるわけ? しかもそのアイデンティティとやらは辞書にも載ってない。アイデンタティならあるけンど。

 だとすると言いたい。この問題、価値観が多様化している時代、個人が大切にされている時代、ほんとうに憲法が規定するとか関わる問題なのか。ならば、どの条文が関係するの。その一番の肝心についても報道はゼロ。何でしょうね。

 なお、おまけだけど、辞書にないとと言えば、流行りの「ハイブリッド」もない。そして多くの方が、この語が自動車の用語以前に「雑種」とか「混成種」の意味だったことも知らない。気になる。ちなみにハイブリッド自体が、ハイ(high)とブリード(breed)の混成語という説も。

 それからあと一つ。裁判員が死刑とした人が初めて執行されたニュースです。テーマは「そのために傷ついていいのか」 これもよくわからない。「裁判官は傷ついても良い」ともなるし、「キズつかない特殊な方」になる。そうなのか。そして傷つくなら「裁判員はなぜ初めて引き受けたのか」ともなる。さらにはそんな重大は判断をするのに「なぜ報酬は低いのか」ともなる。報道にそのあたりのことはなにもない。



 結論、この頃のメディアは、横並びの記事ばかりで、問題を掘り下げない。こまったもんだ。結局、ぼくはいろんな本を買うハメになる。