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                   編集子 K



2020年11月4日水曜日

●精神障碍者の実態

これについてブログその他でふれたら、それなりの反響。多くは「実態を知りたい」でありました。国の定義とぼくは違うし、かれらの症状は千差万別なので、どうするか迷います。

 一方、かれらの実態が見えないと、かれらが辛すぎるままになるのも現実です。そこで、ぼくは精神障碍者を「(広い意味で)こころに疾患を抱えていて、日常生活に支障・不便のある者」と定義し、紹介するのは多様の中の一例として、以下、書くことにしました。

 Mさんの例です。中津の路上で出会ったんです。彼女は、私の50メートルほど前を歩いていて、よたよた歩き、突然ばたっと倒れけいれんし、またよたよた歩き、アパートへ帰っていきました。余りの恐ろしさに声もかけられません。二、三日して、私はそのアパートを訪ねました。原因は、やはり身近な人で我慢のし過ぎで、トリガーは心的外傷でありました。体が硬直して、骨折したこともあります。ふだんは、親切なお医者さんのアドバイスで薬にも副作用があるよと言われて、控え目にしていましたが、切れると症状が出てきます。その効果がなくなると、色々起こります。また、私と同じに似た体験をすると、ひどい症状になります。例えば、腹痛は10日以上続きます。胃にはポリープが続発します。バネ指になります。呼吸困難、極端な視力低下、歩行困難、上げればきりがありません。出会ったころは肩などをもみました。鉛が入っているようです。それでも、5時間、4時間、3時間、20分、そんなふうになり肩に触れただけで気が楽になるのか、3年かかりました。でも、症状は威張る人に何か言われると悪い症状に戻ります。実態を目にする人はほとんどいません。薬が効いているときしか出歩かないからです。その点、医者でも同じです。Mさんは隠します。知られてひどい目に遭ったことがあるからです。

 さて、そのMさん、というか、ぼくの支援している8人皆同じですが、周囲は誰も重い症状に気がついていません。実態を見られると、差別される、仕事を失うなどの意味もありますが、かれらは薬(治すのではなく、重い症状を軽減する薬)に依存しています。長年、服用しているので副作用の怖さを知っています。極端に言えば、出かける時だけ服用します。だから、周囲もボランティアも時には医師さえ実態は見えません。

 そこから起きるチグハグは膨大ですが、テーマではないので、一つだけ医療制度の面からふれます。かれらの多くは、生活費を障がい年金に頼っています。その年金の額は障がい度で決めます。そして障がい度を決めるのはふつう主治医である医師です。ところがその医師は日常的にはかれらの実態を目にしていません。結果として、かれらの年金は障がいの目に見える身体障碍者より、あるいは同じ精神障碍であっても障がい度の分かりやすい発達障碍者より低いのです。障がいを認定されない方さえいます。10月4日、神奈川新聞がその辺りの一部を報道したのはご存知のとおりです。

 なお、この機会によく訊かれるのは「精神障碍は治るか」です。これも、じつは国の見解とぼくはズレています。現実的にふれます。仮に障がいからくる症状が消えるのを治ると言えば治る、です。先の8人についていえば、みな10年以上薬を続けています。その点では治らない、です。では、どうすればよいのか。狭い範囲と見聞からの推察です。ある障がい者に身近にケアしてくれる方がいて、薬が徐々に減り、今、薬と切れて8年目だとか、体験上、納得です。なまじ薬が効くため、医師の薬頼みが認知行動療法その他を遅らせている意味もあるでしょう。いずれにしろ、ぼくが精神障碍の見える化を訴える理由です。